|
 |
※当サイトへのリンクはフリーです。トップページ、個別ページ問わず、ブログなどの話題提供にお役立てください。 |
|
|
|
|
一般家庭の光熱費のうち、暖房費が占める割合は26%程度といわれています。省エネを考えるうえで、暖房費をいかに削減するかは大きな課題です。我が家でどれくらい暖房を使っているかを、入居してまもない頃に「断熱効果」としてレポートしましたが、感覚的な報告(朝夜各1時間程度の運転)しかできませんでした。今度の冬は、エアコンの電力使用量をしっかり記録して、春にはこの冬かかった暖房費をレポートしたいと思います。
それに先駆け、昨冬のデータを元に、暖房負荷を予測し、暖房費を計算してみたいと思います。ただし、途中の熱量計算については、私がまったくの素人であるため、間違った考えや計算を行っている可能性が大いにあります。もし、お気づきの点がありましたら、ご連絡いただけると助かります。
〓熱損失量の再計算〓
まず初めに、「断熱まとめ」で計算した我が家の熱損失量についてですが、あまりにも大雑把だったので、もう少し精度を上げ
たいと思います。前回の計算で考慮していなかった、柱、大引け、梁などの熱橋部分のマイナス要因、ダイライト、石膏ボードなどのプラス要因、換気によるマイナス要因を加味するとともに、面積を再度拾い直して再計算しました。
部位別の熱損失
|
部位 |
熱貫流率(K値) |
面積(u) |
熱損失(W/℃) |
床 |
床 |
0.35 |
57.1 |
20.0 |
熱橋(大引き)床面積の10% |
1.05 |
6.3 |
6.6 |
壁 |
壁 |
0.27 |
121.6 |
32.8 |
壁熱橋(管柱、間柱、梁)壁面積の18% |
0.85 |
30.4 |
25.8 |
屋根 |
(天井) |
0.21 |
69.3 |
14.6 |
開口部 |
窓、ドア |
3.5 |
34.8 |
121.8 |
換気 |
(換気必要量ではなく、実際の換気量) |
(比熱0..3) |
(換気量60㎥) |
18.0 |
|
合計 |
239.6 |
|
|
|
|
|
|
|
|
床面積 |
128u |
|
|
|
熱損失係数(Q値) |
1.87W/u℃ |
その結果、建物全体の熱損失量は、239.6W/℃、熱損失係数(Q値)は1.87W/u℃となり、前回の計算より多少悪い結果になりました。
〓熱収支〓
建物の熱損失量がわかれば、外気温に対して補わなければならない熱量が求まり、それが暖房量となるので計算は単純に行えます。例えば、外気温が10℃の時、室内温度を18℃に保つためには、温度差×熱損失量で (18℃-10℃)×240W/℃=1,920W となり、1.920KWの熱を補う必要があります。エアコンのCOPが4だとすると、実際の消費電力は0.48kwとなり、電気料金単価を掛けることによって、電気料金も求まります。
しかし、建物内には熱を発するもの(人間や照明、電化製品など)があり、また、昼間は太陽の日射があるので、外部から熱を取得する場合もあります。これらを全て紐解かないと、本当の暖房費を計算することができません。また、建物自体が熱を蓄えるので、その蓄熱量も考慮する必要があり、文系
で熱学など触れたこともない素人の私では全てを計算することはできません。
そこで昨年のデータ(「断熱効果」レポート時に収集した12月23日〜12/26日)からある仮説を立て、そこから暖房費を計算していきたいと思います。
温度変化
|
東京気温 |
リビング気温 |
小屋裏気温 |
最低 |
最高 |
朝7時 |
夜8時 |
朝7時 |
夜8時 |
12/23 |
5.6 |
13.0 |
14 |
15 |
15 |
16 |
12/24 |
6.5 |
12.0 |
14 |
15 |
15 |
16 |
12/25 |
6.3 |
11.2 |
14 |
15 |
15 |
16 |
12/26 |
5.7 |
10.9 |
14 |
15 |
15 |
16 |
12月23日〜12月26日は、いずれも天候は晴れで、外気温の変化もほぼ同じ動きをしています。この時、まだエアコンが取り付けられていなかったので、無暖房状態での生活でした。ここで注目したいのは、リビング気温と小屋裏気温ともに毎日定時には同じ
温度だったことです。朝7時のリビングは、外部からの熱の流入もなく、また、内部の発熱も最低で、最も室温が下がる時間です。この時間の室温が毎日一定ということは、最低気温+X℃=室温が成り立っているということで、Xは概ね7〜8℃となります。
言い方を変えると、熱収支は朝7時の時点で、最低気温+7〜8℃になるようなバランスであるということで、これを基準に考えれば、不足している熱量を計算することができるはずです。途中の熱収支はわからないのですが、最低気温+7℃として、無理矢理熱収支を想像したのが、以下の表とグラフです。
時間別熱収支(イメージ)
|
|
|
|
|
|
|
|
|
単位:W |
|
|
時間 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
|
放熱 |
1℃差 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
|
7℃差 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
|
発熱 |
電灯他 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
|
人間 |
400 |
400 |
150 |
150 |
150 |
150 |
150 |
150 |
|
調理 |
|
1,000 |
0 |
0 |
0 |
0 |
500 |
0 |
|
風呂 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
|
日射 |
0 |
0 |
340 |
1,500 |
3,500 |
5,500 |
7,500 |
5,500 |
|
熱収支 |
-1,314 |
-313 |
-1,222 |
-61 |
1,940 |
3,941 |
6,442 |
3,943 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
時間 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
20 |
21 |
|
放熱 |
1℃差 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
|
7℃差 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
|
発熱 |
電灯他 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
|
人間 |
200 |
200 |
300 |
300 |
300 |
300 |
400 |
400 |
|
調理 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1,000 |
0 |
0 |
0 |
|
風呂 |
0 |
0 |
0 |
500 |
400 |
300 |
200 |
300 |
|
日射 |
3,500 |
1,500 |
340 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
|
熱収支 |
1,994 |
-5 |
-1,064 |
-903 |
-2 |
-1,101 |
-1,100 |
-999 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
時間 |
22 |
23 |
24 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
合計 |
放熱 |
1℃差 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
-240 |
-5,760 |
7℃差 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-1,680 |
-40,320 |
発熱 |
電灯他 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
4,800 |
人間 |
400 |
400 |
400 |
400 |
400 |
400 |
400 |
400 |
7,300 |
調理 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2,500 |
風呂 |
200 |
100 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2,000 |
日射 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
29,180 |
熱収支 |
-1,098 |
-1,197 |
-1,296 |
-1,319 |
-1,318 |
-1,317 |
-1,316 |
-1,315 |
0 |
※計算根拠(推定理由)
放熱量:建物の熱損失量より
発熱・電灯他:待機電力が概ね200W
発熱・人間:大人100W、子供50Wとして計算
発熱・調理:なんとなく
発熱・風呂:5,000W(お湯の熱量)×0.6(適当)を振り分け
発熱・日射:熱収支をゼロに合わせるために逆算

上の表とグラフは、不確かな要素による想像でしかないのですが、日射が家の暖かさを左右する大きな要因であることを裏付ける結果となっています。もし、太陽が昇らず、日射がまったくない日が
続いたと仮定すると、生活熱だけの熱収支では熱損失係数(Q値)1.87W/u℃の家をもってしても、外気温と室温の差はわずか3℃しかなくなってしまいます。
逆に生活熱だけで3℃も上げられるとうい見方もできます。子供が成長して一人前に熱を出すようになれば、家の中はあと1℃高くなります。
〓不足熱量の計算〓
前述の仮説(室温は外気温+7℃で熱収支のバランスがとれている)が正しいことと、家自体の蓄熱量を無視することを前提に、室温を18℃に保つための不足熱量を東京の平均気温から求めてみます。
外気温が18℃-7℃(熱収支プラス分)=11℃を下回った場合、その差が不足温度になり、不足熱量は、その温度に240W/℃(熱損失量)をかけて算出します。
時間別不足熱量
|
時間 |
03時 |
06時 |
09時 |
12時 |
15時 |
18時 |
21時 |
24時 |
合計 |
11月1日 |
外気温(℃) |
13.5 |
12.8 |
15.0 |
17.8 |
18.3 |
16.9 |
15.6 |
14.4 |
|
不足温度(℃) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
不足熱量(W) |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
|
|
|
|
|
〜 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
12月31日 |
外気温(℃) |
4.5 |
3.9 |
5.4 |
9.0 |
9.9 |
8.2 |
6.8 |
5.6 |
合計 |
不足温度(℃) |
6.5 |
7.1 |
5.6 |
2.0 |
1.1 |
2.8 |
4.2 |
5.4 |
|
不足熱量(W) |
4,700 |
5,133 |
4,049 |
1,446 |
795 |
2,024 |
3,037 |
3,904 |
25,088 |
|
|
|
|
|
〜 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
3月30日 |
外気温(℃) |
8.8 |
8.2 |
10.6 |
13.1 |
13.8 |
12.5 |
11.1 |
10.1 |
合計 |
不足温度(℃) |
2.2 |
2.8 |
0.4 |
|
|
|
|
0.9 |
|
不足熱量(W) |
1,591 |
2,024 |
289 |
0 |
0 |
0 |
0 |
651 |
4,555 |
※気象庁の過去データでは気温は3時間おきなので、不足熱量も3時間分で計算。
11月1日〜3月30日の不足熱量を月別に集計し、COP=4のエアコンを使用したと仮定して必要電力量を計算します。
必要電力量(24時間)
24時間全館室温18℃ |
|
|
|
|
|
|
|
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
合計 |
不足熱量(kwh) |
51 |
497 |
931 |
821 |
410 |
2,710 |
必要電力量(kwh) |
13 |
124 |
233 |
205 |
102 |
677 |
上記の結果は24時間全館18℃を保つために必要な電力量です。しかし、寝ている間と、昼間の十分な日射のある時間帯は無理に暖房を運転する必要はありません。実際昨冬の状況も朝と夜の運転だけでした。なので、6〜12、18〜24時の運転に絞って再計算してみます。
必要電力量(時間限定)
12時間全館室温18℃ |
|
|
|
|
|
|
|
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
合計 |
不足熱量(kwh) |
28 |
284 |
512 |
448 |
231 |
1,503 |
必要電力量(kwh) |
7 |
71 |
128 |
112 |
58 |
376 |
〓予測暖房費〓
月別暖房費
12時間全館室温18℃ |
|
|
|
|
|
|
|
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
合計 |
電力量(kwh) |
7 |
71 |
128 |
112 |
58 |
376 |
電気料金(円) |
140 |
1,419 |
2,561 |
2,241 |
1,156 |
7,517 |
という結果がでました。電気料金単価は20円で計算していますが、複雑な時間帯別単価に跨っているので、実際の料金と比較することができません。しかし、使用電力量は実測しますので、春にはこの予想通りになったかどうかの比較が可能です。昨冬の全体の電気料金から勘案しても、いい線いってると思います。
〓一般家庭との比較〓
最後に、我が家の暖房費が一般家庭とどれくらい違うであろうかを比較してみたいと思います。
まず、消費エネルギー量で比較してみます。NEDOの資料によると、延べ床面積125uの戸建住宅の標準エネルギー消費量は次世代省エネ基準W地域で83,109MJとなっています。その内、暖房は18,711MJで、我が家の予測376kwhを変換(1kwh=9.76MJ)すると3,669MJとなります。なんと、一般家庭の1/5程度のエネルギー消費で済むことになります。
次に金額で比較してみます。一般家庭の光熱費の26%が暖房費ということは、光熱費が年間200,000円だったとすると、暖房費は約52,000円になります。それに対して我が家は、電気料金単価20円で計算し、わずか7,517円。約1/
7程度の暖房費で済むことになります。
この断熱性能を得るために、100万円と過酷な作業を投じたわけですが、もし本当に暖房費が計算の通りだったとすると、作業は別として100万円は浮いた暖房費23年分で元が取れる計算になります。オール電化や太陽光発電とは違って、断熱は壊れませんので、確実に回収できるのではないでしょうか。本当にこんな数字になるの
かな?結果は春までお待ちください。
〓無暖房〓
ここまで来ると、さらにと考えてしまう欲深い私。いっそのこと無暖房にできないでしょうか?我が家のウィークポイントは何といっても窓です。日射取り込みのために大きくした窓は、逆に熱損失を大きくしてしまい、窓からの熱損失量は全体の約50%に及びます。一般住宅並と言われればそうなのですが、ここを改善できれば無暖房も夢では・・・。
そこで考えたのが、大窓に内窓を取り付け、熱損失を減らそうという作戦です。しかし、内窓を取り付けるには相当の費用がかかるため、現在はペンディング中です。断熱改修費用の1/3を補助してくれるNEDOのありがたい助成事業が3月頃にあるので、その時に再度検討することにしました。
ちなみに、大窓9枚に内窓を取り付けた場合、熱損失量は197W/℃(Q値=1.54)まで下げることができ、予測消費エネルギー量は1,745MJ、電気料金は3,576円と、現状予測のさらに半分に抑えることができます。しかしその対価が70万円というのはあまりにも高すぎます。「無暖房住宅にチャレンジ!」とかの企画で
、どこかの企業がスポンサーになっていただけるなら、1,745MJは我慢して完全無暖房生活を実践します。
省エネ快適空間は窓ガラスから!
手軽に貼れて、きれいにはがせる水貼り
タイプの高断熱素材と空気層のダブル効果で
冷暖房効率が大幅にアップします。 |
2007年11月
〓実測結果(追加)〓
室内温度を18℃でシミュレーションしたものの、エアコンの設定温度が18℃では少々寒すぎました。「我慢せずに省エネ」がモットーなので、エアコンの設定は20℃にしてあります。そのため、20℃の場合のシミュレーションも追加しました。
予測と実績(2007年〜2008年)の比較
|
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
合計 |
予測 (18℃設定) |
電力量(Kwh) |
7 |
71 |
128 |
112 |
58 |
376 |
料金(円) |
140 |
1,419 |
2,561 |
2,241 |
1,156 |
7,517 |
予測 (20℃設定) |
電力量(Kwh) |
24 |
115 |
173 |
154 |
100 |
566 |
料金(円) |
480 |
2,300 |
3,460 |
3,080 |
2,000 |
11,320 |
実績 |
電力量(Kwh) |
32 |
89 |
184 |
191 |
54 |
550 |
料金(円) |
640 |
1,780 |
3,680 |
3,820 |
1,080 |
11,000 |
|
|
|
|
|
|
料金=20円/1kwh |

※毎月の電気料金、水道料金は水道光熱費月報で公表しています。
【暖房費予測】
2008年3月
|
お探しの情報がなかったら、
こちらで検索してみましょう! |
|

|