〓ソーラーシステム〓
太陽エネルギーを利用するシステムには様々なものがあります。単にソーラーシステムと言われただけでは何を指しているのかわかりません。太陽エネルギーを機械的に利用したシステムを大別すると、熱を利用するものと、光を利用するものがあります。一昔前に「朝日ソーラーじゃけん!」のCMで一世を風靡したのは、太陽エネルギーの熱を利用した太陽熱温水器です。最近では熱の利用より光の利用が注目されており、太陽エネルギーの光を利用した太陽光発電が主流になっています。太陽熱温水器(ソーラー温水器)は太陽の熱でお湯を作り、給湯負荷を軽減させるもの、太陽光発電(ソーラー発電)は、太陽の光から電気を作るものです。
太陽光発電で発電した電気は、電力会社と連系して家庭内の消費より発電が少ない時は電力会社から買って、消費より発電が多い時は電力会社に売ることができる系統連系方式が一般的です。蓄電池(バッテリー)に電気を溜める独立電源方式もありますが、蓄電池のコストを考えると採算性が悪く、特殊用途でしか使われません。
太陽熱温水器 |
太陽光発電(ソーラー発電) |

|
 |
〓太陽電池〓
太陽電池とは、太陽の光を電気に変換する光電気変換素子のことを言うのですが、「電池」という言葉がついているので、その役割が非常に紛らわしいです。「電池」と聞くと、電気を溜めておくもののように思えてしまいますが、太陽電池は電池と言っても電気を溜めるわけではありません。なぜ「電池」と名前が付いてしまったのかはわかりませんが、「太陽光発電器」とか「太陽光電気変換器」とかの方がイメージがつかみやすいのではないでしょうか。一般的に太陽電池という言葉が馴染んでしまっているので、どうにもなりませんが、太陽電池は、「電池」ではなく、「発電機」なのです。
〓太陽電池の仕組み〓
「エネルギー保存の法則」というのを中学の理科で学びましたが、モーターは電気を回転運動に換えることができ、逆に回転運動を与えると電気を作り出してくれます。同じように電気は光に換えることができ、逆に光から電気を作ることができます。じゃあ電球に光を当てれば電気ができるのかと質問されると、そう単純なものではありませんが、光も一種のエネルギーなので、電気に変換することができるのです。
それに用いるのが半導体です。半導体という言葉はよく耳にしますが、素人には良くわかりませんね。半導体と聞くと、コンピューターやハイテクといったイメージを持ってしまいますが、そんなに複雑なものではありません。物質には電気を通す導電体(鉄や銅など)と電気を通さない絶縁体(ゴムやガラスなど)とがあります。その間にあるのが半導体で、材料としては主にシリコンが使われています。これらはICチップに使われているので、難しいイメージがありますが、太陽電池にの構造は意外と単純で、プラスの性質を持ったP型半導体とマイナスの性質を持ったN型半導体を貼り合わせただけの構造です。そこに光があたると電位差が生じ、電気が流れるのです。これ以上の解説は素人には無理なので勘弁してください。
●コンセントに差し込んで簡単&便利にボタン1つですぐ測定できます。
●電圧(V)、電流(A)、電力(W)、皮相電力(VA)、周波数(Hz)、力率(PF)、積算電力量(KWH)、積算時間(H)。
●液晶画面に数値で表示されひとめで測定できます。 |
〓太陽電池の種類〓
太陽電池には、原料や製造法の違いにより、いくつかの種類があります。現在住宅用太陽電池として販売されているもの主なものは、シリコン系多結晶、シリコン系単多結晶、薄膜シリコン系、化合物系などがあります。
メーカー別で見ると、シャープ、京セラ、三菱電機がシリコン系多結晶、三洋電機が薄膜シリコンと単結晶のハイブリッド、化合物系では最近ホンダがCIGS薄膜太陽電池の販売を開始しました。コスト面、性能面において、それぞれ特徴があり、どれが優れているかは一概には言えません。逆に飛びぬけてコストパフォーマンスの良い製品もないということになります。
太陽電池の種類と特徴 |
|
種 類 |
特 徴 |
メーカー |
シリコン系多結晶 |
比較的小さな結晶が集まった多結晶でできている基板に太陽電池を作ったもので、単結晶より安価で、作りやすいことから現在の主流となっています。変換効率は、やや単結晶に劣ります。 |
シャープ 京セラ |
シリコン系単結晶 |
最も古い歴史があります。200µm〜300µmの薄いシリコンの単結晶の板(基板)に太陽電池を作ります。基板の値段が高いのが欠点ですが、性能や信頼性に優れています。 |
三洋電機 |
薄膜シリコン系 |
アモルファス(非晶質)シリコンや結晶シリコンをガラスなどの基板の上に1µm内外の非常に薄い膜を形成させて作った太陽電池です。大面積で量産ができるという特長がありますが、結晶系シリコンと比較して性能面に課題があります。 |
化合物系 |
化合物半導体の一種で、銅とインジウムとセレン等を原料とした薄膜太陽電池です。製造工程が簡単で高性能が期待できることから技術開発が進んでいます。 |
ホンダ |
〓太陽光発電の発電量〓
太陽光発電の性能を比較するとき、「モジュール変換効率」という言葉を耳にします。このモジュール変換効率とは、1u当たりどれくらい発電できるかというもので、1,000w(太陽光エネルギー)を100%とした場合のパーセントになります。例えば、1u当たり150wの電気を作れるとしたら、モジュール変換効率は15%ということになります。
太陽光発電パネル(モジュール)の性能を比較する時、メーカーや製品ごとにパネルのサイズが違いますので、1u当たりの発電量で比較することが重要なのです。仮に6畳(約10u)ほどの広さにモジュール変換効率15%のパネルを敷き詰めたとすると、1,500wの電気を発電することができます。よく、システムの容量を表すときに「○○kwシステム」という表現をしますが、この場合はシステム容量1.5kwということになります。この数字は太陽光エネルギーを100%受けた場合ですので、常にこれだけ発電するわけではなく、条件が最高に良いとき(南向き30°傾斜で設置、快晴、夏至に近い正午前後、低温時)にこれだけ発電しますということです。
太陽は一日中出ているわけではありませんし、季節によって日射量も違います。さらに天候も刻々と変化します。実際の発電量は出力×時間(kwh)になりますので、日射量を考慮して計算しなければなりません。日々の日射量はめまぐるしく変化しますが、年間を平均すると大きくはぶれません。平年を100%とした場合にほぼプラスマイナス5%の範囲で収まります。この年平均日射量は地域別に統計があり、システムの容量がわかれば、概ね年間の発電量を予想することができます。
1995年〜2008年の平均を100%とした場合の日射量(東京) |
1995年 |
1996年 |
1997年 |
1998年 |
1999年 |
2000年 |
2001年 |
100.2% |
98.5% |
102.8% |
88.0% |
101.0% |
99.5% |
101.0% |
|
|
|
|
|
|
|
2002年 |
2003年 |
2004年 |
2005年 |
2006年 |
2007年 |
2008年 |
101.2% |
95.5% |
108.7% |
104.1% |
92.8% |
105.7% |
100.9% |
メーカーや製品によって太陽光発電パネルの特性や、パワーコンディショナーの性能差がありますので、正確にはメーカー、製品ごとに試算しなければなりませんが、先の1.5kwシステムを東京の日射量で考えてみると、年間約1,700kwhの電気を作ることができます。一般家庭(オール電化ではない)の年間消費電力が、約4,000kwhと言われておりますので、システム容量3.5kw(広さにして約14畳)の太陽光発電を導入すれば、年間消費電力を太陽光発電でほぼカバーすることができる計算になります。
〓太陽光発電を構成する機器〓
住宅用太陽光発電システムで最も重要な構成機器は、太陽光発電パネル(太陽電池)とパワーコンディショナーの2点です。その他に、売電メーター、接続箱(昇圧回路)、ケーブル、架台、発電モニターなどが必要になりますが、主役は太陽光発電パネルとパワーコンディショナーです。
太陽光発電パネルは、太陽の光を電気に変える役割をしますが、発電される電気は直流です。家庭で使われている電気は交流なので、直流を交流に変換する必要があります。また、発電した電気は、まず家庭内の消費に回され、余っていたら売電メーターを通じて電力会社へ流します。もし、家庭内の消費が多い場合は、買電メーターを通じて電気を購入します。これらの仕事を一手に行うのがパワーコンディショナーです。パワーコンディショナーはこれらの仕事を全て自動で行いますので、まったく操作することはありません。

売電メーターは電力会社に売った電力量を記録し、買電メーターは電力会社から買った電力を記録します。電力会社からの入金と電力会社への支払いは、このそれぞれのメーターを元に行われるので、売り買いを相殺することはしません。ここに太陽光発電の経済的メリットのポイントがあります。太陽光発電が電気を多く作るのは昼間なので、昼間は売電メーターが動きます。夜間は発電をしませんので、当然買電メーターが動きます。ここで、昼間は高く、夜間は安い時間帯別契約をしておけば、安く買って高く売ることができるのです。売電と買電の電力量が同じでも、金額的には支払いよりも入金が多くなるのです。
パワーコンディショナーへの入力電圧は、範囲が決まっているので、太陽光発電パネルを直列につなぎ、ある程度の電圧にしなければなりません。例えば、太陽光発電パネル1枚の電圧が68V(三洋HIP-200BK1)、パワーコンディショナーの入力電圧が70〜380V(三洋SSI-TL55A2)だったとします。そうすると、最低でも2枚(136V)にしなければ、パワーコンディショナーが動いてくれません。ただし、1枚が68Vと言っても最大電圧なので、2枚の直列では朝夕や雲っていたら70Vを割ってしまい、パワーコンディショナーの最低入力電圧に届かず、折角発電していても出力されません。そのため、最低3枚(204V)は直列につなぐ必要があります。4枚であれば272V、5枚であれば340Vになり、最大入力電圧に近ければ近いほど低電圧による足切りがされない分有利になります。
このように直列につないだセットを1系統とし、複数系統組み合わせて使用します。そして系統を束ねるものが接続箱で、基本的には系統同士は同じ枚数(電圧)にしますが、半端な枚数が出てしまい、電圧が揃えられない時は、昇圧回路付の接続箱を使う必要があります。
ここで注意しなければならないのは、同じ出力、例えば200wの太陽光発電パネル15枚=3kwのシステムでも、3直列5系統という方法と、5直列3系統という接続方法があり、期待される発電量は同じではないということです。既におわかりの通り、5直列3系統の方が有利になります。
発電に必要な機器ではありませんが、発電モニターも非常に重要なアイテムです。発電量はパワーコンディショナーでも確認できますが、宅内の消費量、買電量、売電量などをグラフィカルに表示してくれる発電モニターは、必須アイテムと言えます。太陽光発電がどれ程の働きをしているのか、また、どれ程無駄な電気を使ってしまっているのかを確認することは、省エネマニアでなくても楽しいものです。
主要メーカーの発電モニター
【太陽光発電の実際-基本編-】
2009年2月
太陽光発電の実際 -実践編- 新たな電力買取制度
|
お探しの情報がなかったら、
こちらで検索してみましょう! |
|

|