中水利用システム |
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〓要件〓
1.屋根に降った雨水をタンクに貯める。 以上5つの要件に加え、極力他のエネルギー(電力)に依存しない方法でシステムを考えることにしました。また、渇水時でもトイレが使えることも必要条件です。 その結果、タンクを2階に設置し、屋根に降った雨水をタンクに貯め、高低差を利用して1階のトイレに水を供給することにしました。なので、残念ながら2階のトイレは対象外となりました。また、風呂の残り湯は、どうしてもポンプを使わなければならないので、一応システムにポンプを組み込み、渇水時のみ利用することとしました。下の図が配管の全体像です。
〓主な部材〓
雨水タンク降雨間隔から考えて、タンクの容量は1,000Lはほしいと思います。 雨水コレクターフィルターの目が細かく、メンテナンスフリーなので、少々高かったのですが、ドイツ製の雨水コレクターにしました。初期雨水カット機能もあるそうですが、それについては疑問です。 タンクより高いなんて許せないという人には1/10以下の価格で同じような製品がありますので、そちらをどうぞ。
ポンプ風呂の残り湯を汲み上げるためのポンプ。自吸式カスケードポンプというシンプルなタイプです。 電磁弁渇水時に水道水を供給するためのもの。水位が基準以下になると弁が開いて水道水をタンクに供給します。 逆止弁逆流を防止するための弁。タンクや洗濯機の水が風呂に逆流することはないのですが、気分的なものです。 フロートスイッチタンクの貯水量を検知するためのスイッチ。5段階の水位検知と、電磁弁を開閉させるための2個の計7個を購入しました。 流量スイッチ水が流れている時にONになるスイッチです。ポンプ制御(自動停止)のために購入しました。 〓集水〓屋根は南北に傾斜する切妻屋根です。北東角に設置した雨水コレクターで全てを集水するため、南側の樋から北側の樋へ丸樋を横に這わせました。幸い、北側の軒は、北側斜線規制のため、南側より低いので、多少勾配がとれています。 集中豪雨のときや、南側から北側への丸樋が詰まったときに、南側の樋の水の行き場がなくなってしまうので、南西角にオーバーフロー用の縦樋を設置しました。オーバーフロー用縦樋の落としは、北側への丸樋の落としよりも奥に設置しているため、無駄に水を捨ててしまうことはありません。 計算上は、20mmの雨で1,000Lの水を集めることができます。雨水コレクターの集水効率が80%程度とすると、タンクには800Lの水が流れ込みます。季節によって違いますが、東京の月平均降水量は約120mm程なので、雨が平均的に降ったとして月5回ほどは満水(1,000L)にすることができます。
〓モニター〓5つめの要件である「タンクの貯水率を見て楽しむ」を実現するために、タンクにセンサー(スイッチ)を取り付けます。単純にスイッチがONだったらLEDを光らせる仕組みなので、フロートスイッチをレベルSW-1〜5の位置に 取り付ければOKです。また、給水用のスイッチが2つあるのは、バタつきを防ぐためです。もし、スイッチが1つで、それがONになったら給水する仕組みになっていると、給水による波でOFF-ONが繰り返されてしまいます。それを防ぐために、自己保持回路というのを応用して、給水SW-Aまで水位が下がったら給水を始め、給水SW-Bに達したら給水を止める仕組みにしました。
モニターはLEDをハンダ付けした基盤にプラ板を加工したものをはめ込んで作成しました。5段階の貯水率と、給水中がわかるようになっています。 〓残り湯の汲み上げ〓風呂の残り湯をポンプで汲み上げるとき、押しボタン式にすると水がなくなるまでスイッチを押していなければならないし、入り切りスイッチにすると水がなくなった時に空回りして ポンプを傷めてしまいます。いずれにしても水がなくなったら自動で止まる仕組みを考えなければなりません。湯船を加工するわけにはいかないので、流量スイッチを取り付けることにしました。 最初に押しボタンでポンプを始動させます。水が汲み上げられ、流量スイッチがONになると、リレーでポンプの電源を強制ONにし、押しボタンを放してもポンプが動き続けます。そして水がなくなり、流量スイッチがOFFになると、ポンプが自動で止まります。 ここで問題なのが、ポンプからのエアー混入です。吐き出し口に設置した流量スイッチが、このエアーで誤動作(停止)してしまう恐れがあるのです。それを防止するため、流量スイッチの上に20mm管でエアーの迂回路を持たせ、なおかつ流量スイッチを2個並列でつなぎました。これで、誤動作はほぼ防げます。 さらにこの迂回路は、圧力損失も減らせるので、一石二鳥です。 スイッチは、ポンプ始動用の押しボタン(始動)と、途中でポンプを停止したいときの入り切りスイッチ(ポンプ)、流量スイッチがONの時に点灯する揚水ランプ、満水(レベル5)を知らせる満水ランプです。 配線は先行配線で全て壁内に収めました。 制御用の電子部品は全て秋葉原で購入しました。リレー、LED、定電流ダイオードなど、それぞれの金額は忘れてしまいましたが、全部合わせても数千円です。 回路図は手書きなので今回は省略しますが、電気にはプラスとマイナスがある位の知識レベルがあれば作成可能です。 〓参考写真〓
〓効果〓動作については、ほぼ思惑通りで、集水、残り湯汲み上げ、モニター表示、トイレでの使用はいずれも順調に機能しています。トイレへの給水が自然落下だけなので、水圧不足を心配していまいたが、気になる程ではなく、トイレを流した後、1分程でロータンクに水が貯まります。 設置後初めて雨が降ったのは1月6日で、この時の東京の雨量は32mmでした。順調に水位が上がり、昼過ぎには満水でオーバーフローしていました。降り始め前の貯水率が20%でしたから、ほぼ計算通りの集水ができていると思います。 風呂の残り湯は、洗濯に使って、さらに残った分を汲み上げているのですが、ボタンを押すのはかみさんの役目なので、毎日どれくらいの量を汲み上げているか不明です。1月6日以降は雨が降らず、タンクの残量は日々減っていきました。そして、1月15日に給水ランプが点灯し、水道水を補給していました。 ということで、一旦満水(20mmの降雨)になると、風呂の残り湯と合わせて10日程トイレを流すことができます。トイレの使用量から逆算すると、8L×6人×3回×10日=1,440Lとなり、満水(1,000L)に風呂の残り湯10日分を合わせた数字とも同じ位になります。この結果からすると、月に換算して4,000L前後の節水になるでしょう。東京都の場合、2ヶ月30㎥使用の㎥単価が上下水道合わせて250円位ですので、 250円×4㎥×12ヶ月で年間12,000円程度の節約になります。一方初期導入費は、部材だけでも約20万円(樋や水道配管は新築のため含まず)かかっており、元をとるには17年近くかかります。 さらに私の人件費もプラスしていませんので、商売として費用対効果を語る数字ではありません。しかし、趣味としてなら良いと思います。 ※追加レポート:雨水タンクの改良 ※毎月の電気料金、水道料金は水道光熱費月報で公表しています。 【中水利用システム】 2007年1月
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