ここに来てLED照明(電球型LED)の低価格化が進んでいます。省エネなのはわかりますが、価格が高すぎて手が出ないというのが実情でした。しかし、東芝やシャープから、1個4,000円を切る製品が発売され、いよいよ普及できる価格帯へと落ちてきました。そこで、電気代を含めたトータルコストで、本当に電球型LED照明が優れているのか比較してみたいと思います。
〓白熱球、電球型蛍光灯、電球型LEDの基本性能比較〓
電球型LED照明が注目される前は、電球型蛍光灯が省エネの代名詞でした。寿命が長く、同じ明るさを得るのに消費電力も少ない電球型蛍光灯は、ある程度普及したと思いますが、白熱球に比べての欠点もいくつかあり、完全に白熱球の代わりにはなりませんでした。例えば、スイッチを入れた後、100%の光量になるまで時間がかかったり、点滅回数が寿命に影響したり、調光機能付きのスイッチに対応できなかったり・・・。
ここではまず、これらの細かい問題を抜きにして、製品の価格と寿命、そして消費費電力(電気代)から連続点灯した場合にどうなるか計算してみます。
白熱球60W相当の価格、寿命、消費電力 |
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価格 |
寿命 |
消費電力 |
白熱球 (東芝長寿命型ホワイトランプ) |
116円 |
2,000時間 |
54W |
電球型蛍光灯 (東芝ネオボールZ) |
562円 |
6,000時間 |
12W |
電球型LED (東芝LED電球E-CORE) |
3,450円 |
40,000時間 |
6.9W |
※価格は2009年10月現在、ネットで検索
〓トータルコスト〓
上のグラフは、白熱球、電球型蛍光灯、電球型LEDの時系列でのトータルコストを描いたものです。寿命になったら買い替え、消費電力×電気代(25円単価)をプラスしていったものです。その結果、白熱球の寿命である2千時間では蛍光灯蛍光灯のコストパフォーマンスが良く、次いで白熱球、LEDの順番になります。4千時間目では、LEDが白熱球よりコストパフォーマンスが良くなりますが、1.4万時間まで蛍光灯の方が良いままです。その後はLED、蛍光灯、白熱球の順番は崩れることはありません。
5万時間使った場合のトータルコストでは、白熱球が約7万円、蛍光灯が2万円、LEDが約1万5千円で、白熱球が突出していますが、蛍光灯とLEDの差はあまり大きくありません。一応LEDのコスト面での優位性は確認できますが、蛍光灯と比べると、5万時間(24時間365日点灯したとして6年近く)でも5千円程度の違いしかありません。
〓電球型蛍光灯の検証〓
我が家では、消費電力を考え、全ての照明を蛍光灯にしました。そのうち、廊下や階段、トイレなどは電球型蛍光灯を使用しているので、LEDに置き換えることができます。それに先立ち、まずは電球型蛍光灯の成果がどうだったか検証してみます。というのも、先日、入居してから2年半で2階の廊下の電球型蛍光灯が1つ切れてしまいました。あまりにも早い寿命到来なので、果たして電球型蛍光灯を採用して正解だったのかどうか
疑問です。
我が家で電球型蛍光灯を採用しているのは、廊下、階段、トイレ、玄関ポーチ、などで、いずれも人感センサーによって自動で点滅します。廊下は頻繁に人が行き来するため、点滅回数もかなり嵩みます。では、どのくらいの点滅回数があるかというと、カウンターでいちいち数えてられませんので、ざっくり予想します。廊下を1日1人が5回通ると仮定し、家族は6人(1人はまだ乳幼児)。そうすると、1日30回点滅することになります。1年間だと実に10,950回点滅することになります。一方電球型蛍光灯の弱点として、点滅回数による寿命があり、期待寿命では20,000回とされています。点滅回数から逆算すると、2年
程度しかもたない計算になります。先日切れてしまった電球型蛍光灯は、時間による寿命ではなく、点滅回数による寿命で切れてしまったのです。ちなみに点灯時間は、1回1分として、年間10,950回が2年半でわずか456時間しかありません。期待寿命が6,000時間もあるのに、わずかその1/10も使っていなかったのです。
電気代削減が第一でしたので、迷わず電球型蛍光灯にしたのですが、もしかするとトータルコストでは白熱球の方が安かったのかも?と疑問が生まれたので、ちょっと計算してみます。456時間ということは、白熱球はまだ寿命の範囲、もし、白熱球だったとすると、電球代116円+電気代638円=754円、電球型蛍光灯だと、電球型蛍光灯代562円+電気代136円=698円。現段階では辛うじて電球型蛍光灯が安いですが、白熱球はまだ3/4寿命を残しています。再び電球型蛍光灯を買って使い続けるとすると、白熱球が切れるころにはほぼ同じか、若干白熱球の方が安いという結果になってしまいます。
頻繁に点滅する場所、特に人感センサーなどを用いた場所では、電球型蛍光灯より、白熱球の方がトータルコストが安いという落とし穴がありました。
電球型蛍光灯の寿命をフルに引き出すためには、1回の点灯で、寿命時間÷点滅寿命以上の時間点けっぱなしでなければならないのです。つまり、6,000÷20,000=0.3時間で、18分以上連続点灯する必要があります。
〓電球型LED照明の実用性〓
それでは電球型LEDではどうでしょうか。電球型蛍光灯のように点滅による寿命がなく、おまけに点灯時の光量も電球型蛍光灯のように立ち上がりが遅いといったこともありません。連続点灯の比較では蛍光灯とLEDの差は大きくありませんでしたが、点滅回数による制限がないとすれば、圧倒的に有利になると思われます。下のグラフは、電球型蛍光灯が約500時間で点滅回数による寿命で切れてしまうと仮定して描いたものです。
点滅回数の多い場所では、白熱球と蛍光灯のコストはあまり変わらず、LEDは2.5千時間を越える辺りから有利になり、その先は差が開く一方です。この結果を見る限り、やはりLEDに代えるべし、と思ってしまいますが、ちょっと待ったです。電球型蛍光灯と、電球型LEDの損益分岐点は2.5千時間、先ほどの検証で、500時間使用するのに、約2.5年かかっています。2.5千時間に達するまでには12.5年かかります。安くなったとはいえ、電球型LEDはまだまだ実用化されたばかりで高額です。今の技術進歩を考えれば、10年以上先にはもっと安く、もっと良いものが出てくるでしょう。今が買い時かと聞かれれば、もう少し待った方が良いという考えもありますが、こんなことを考えていてはいつまでたっても交換できません。切れてしまったものから代えていけば良いのです。
LEDの期待寿命は40,000時間ですので、今交換すれば200年はもちます。200年?家の寿命より長いぞ!、っていうか私はもう生きていません!本当にもつのか200年?他の要因による寿命がありそうですが、もし本当に200年もつのであれば、電球型LEDは
寿命レスの無交換電球と呼んでも良いのかもしれません。寿命による交換費用がバカにならない信号機などでLEDが普及しているのがうなずけます。
〓電気代への影響〓
これまではトータルコストで電球型LEDを見てきましたが、我が家で電球型蛍光灯を使っているところを全て電球型LEDに交換した場合に、どれだけ省エネになるか計算してみます。交換対象となるのは、廊下、階段で5ヶ所、トイレ2ヶ所、玄関ポーチ1ヶ所、風呂2ヶ所です。それぞれに1日当りの使用時間を無理矢理仮定します。
・廊下、階段:5回×6人×1分=0.5時間
蛍光灯:12W×0.5時間×5ヶ所=0.03kwh
LED:6.9W×0.5時間×5ヶ所=0.01725kwh
・トイレ:5回(2ヶ所あるがどちらか使用)×6人×3分=1.5時間
蛍光灯:12W×1.5時間×1ヶ所=0.018kwh
LED:6.9W×1.5時間×1ヶ所=0.01035kwh
・玄関ポーチ:2回×6人×1分=0.2時間
蛍光灯:12W×0.2時間×1ヶ所=0.0024kwh
LED:6.9W×0.2時間×1ヶ所=0.00138kwh
・風呂:6人×30分=3時間
蛍光灯:12W×3時間×2ヶ所=0.072kwh
LED:6.9W×3時間×2ヶ所=0.0414kwh
合計:蛍光灯:0.1224kwh
LED:0.07038kwh
1日の差はわずか0.052kwh、1ヶ月で1.56kwh、1年で約19kwhの差にしかなりません。金額では、25円単価として、月間39円、年間でも475円の差です。残念ながら電力削減の決定打とはなりません。1ヶ月に節約できる1.56kwhは、テレビ(130w)に換算すると、約12時間分ですので、テレビの点けっぱなしをしてしまうと、あっという間に吹っ飛んでしまいます。電球型蛍光灯から電球型LEDへの交換は、これ以上絞りきれないところまで節電し、最後の1滴を搾り出すための最終手段のようです。
※居室など、長時間点灯する場所での使用の場合はもっと効果があります。上記の計算は、廊下、階段、トイレなど、長時間点灯し続けない場所でのものです。居室に使うような蛍光灯型のLEDはまだまだ高額なため、値段が安くなったら再度検証します。
【電球型LED照明】
2009年10月
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