分離発注でマイホーム
〜エコ住宅・省エネ住宅〜

省エネ住宅

目 次

〓分離発注とは

〓マイホーム建設記

〓レポート

仕様

建設費用

断熱効果

中水利用システム

太陽光発電

風力発電

オール電化効果

気密性

雨水タンク改良

外溝工事

独立電源強化

冷蔵庫

エコキュート

省エネ住宅

暖房費予測

電気料金契約

電気ガス比較

CO2排出量

窓の結露

電気料金の値上げ

ハムスター発電

節電対策グッズ

洗濯物干し

家庭菜園

電気料金改定

電気料金の値下げ

エコポイント

ハイブリッド車

電球型LED照明

エコキュートの断熱

計画停電対策

〓水道光熱費月報

〓エコ投資回収状況

〓太陽光発電の実際

 太陽光発電-基本編-
 太陽光発電-実践編-
 新たな電力買取制度
〓オール電化の実際
 オール電化-基本編-
 オール電化-実践編-
 

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太陽光発電

 
 
 
 
 
 


 「分離発注でマイホーム」というタイトルとは裏腹に、最近は「省エネ」「エコ」に関するレポートが多くなってしまいました。このレポートも「省エネ」に関するものですが、家を建てようと考え始めた頃から、省エネの家にしたいと考えており、それを実現するためには分離発注で家を建てるのが一番効率的だったのです。今までのレポートでは個別の設備の紹介をしてきましたが、今回は住宅全体に目を向け、 省エネ住宅としての我が家のツボをレポートします。

〓省エネ住宅とは〓

一言に「省エネ住宅」といっても、色々な意味があります。まず、建築の際の工法や、部材の選定で、よりエネルギーを消費しない住宅を建築すること。これも省エネ住宅ですし、高気密高断熱で光熱費削減に寄与する住宅も省エネ住宅です。また、オール電化や太陽光発電などの設備を備えている住宅も省エネ住宅と呼ばれることもあります。
 このように、様々な方法で住宅の省エネ化を行うことができるのですが、予算が無尽蔵にあるわけではありません。我が家は省エネ住宅の研究機関ではないので、限られた予算の中で省エネ化を実現し、それ以上に経済メリットを出さなければ意味がないのです(省エネ化のためのコスト増<=省エネ効果による経済メリット) 。また、省エネとは我慢することと思っている方がいらっしゃいますが、私は省エネとは我慢することではないと考えています。利便性や快適性を失わずにエネルギーを省くことが省エネだと思っています。従って省エネ住宅とは、「便利で快適でエネルギー消費が少なく、余計なお金もかからない住宅」ということになります。

〓目標〓

一般家庭の年間水道光熱費は約26万円という調査結果があります(総務省:平成18年家計調査、関東地方2人以上世帯)。もし、家の寿命がローンと同じ35年とすると、35年間に910万円もの水道光熱費を支払い続けなければなりません。しかし、住宅に工夫を凝らし、もし、この費用をゼロにすることができれば、910万円安く家を建てたことになります。当然途中で余計なメンテナンス費が加わってくると思いますが、もしかすると、「価格命のローコスト住宅」より安く家を建てられた ことになるかもしれません。用途別エネルギー消費量
 光熱費の内訳を見てみると、給湯が
34%、冷暖房が28%、照明 ・家電が38%となっています。給湯、冷暖房、照明・家電が約1/3ずつのウエイトを占めており、それぞれにバランスの取れた対策が必要です。また水道もコストとしてみた場合決して安くはなく、水道光熱費全体に占めるコスト比率は20%を超えます。このことから、我が家ではプランニング段階から、給湯、冷暖房、照明 ・家電、水道の4部門それぞれに省エネ対策を考えました。そしてそこに太陽光発電をプラスすることによって、水道光熱費をゼロにする究極の省エネ住宅を目指したのです。 

ワットチェッカー      ワットチェッカー

●コンセントに差し込んで簡単&便利にボタン1つですぐ測定できます。
●電圧(V)、電流(A)、電力(W)、皮相電力(VA)、周波数(Hz)、力率(PF)、積算電力量(KWH)、積算時間(H)。
●液晶画面に数値で表示されひとめで測定できます。

〓給湯〓

給湯設備の選択でまず最初にぶつかるのが、ガス給湯器か電気給湯器かです。この選択は、ガス併用住宅にするかオール電化住宅にするかに直結する問題で、給湯の側面だけで語ることはできません。オール電化にするということは、加熱機器や暖房機器も全て電気にしなければならず、トータルで考える必要があります。我が家の考えでは
・加熱機器
 加熱能力と省エネ性ではガスコンロ、電気(
IH)共互角。利便性では電気(IH)有利。夫婦揃って調理にはあまりこだわりがないので、結局どちらでも良い。
・暖房機器
 こちらも省エネ性は互角。というよりあまり使わないことが前提なので、結局これもどちらでも良い。
 ということで、焦点は給湯設備の省エネ性のみに絞られます。
 結局エコキュートの省エネ性に引かれ、給湯設備はエコキュートを選択しました。そして、経済メリットを最大限にするために、オール電化住宅という結論に達したのです。
 オール電化住宅は初期投資が高いと言われますが、我が家の場合は新築で、しかも都市ガスの配管が隣までしか来ていなかったため、初期投資も含め、経済メリットは圧倒的にオール電化が有利でした。
 給湯をより効率的に行うためには、間取も考慮しなければなりません。給湯器から風呂やキッチン、洗面所までの距離が短ければ短いほど無駄なエネルギーを使わなくて済むからです。我が家では水場を集中させ、給湯器から一番遠い風呂場でも
4m程度に収めることができました。また、エコキュートのタンク置き場も、西日の当る位置に設置し、自然放熱を少しでも防ぐよう に配慮しました。

給湯配管

〓冷暖房〓

冷暖房と大きく関係するのが住宅の断熱と気密です。また、風通しや、日差しも冷暖房費抑制には重要で、間取や窓の配置も考慮する必要があります。
断熱 まず、断熱についてですが、一般の注文住宅では、新省エネ基準(
Q値:3.89W/m2K)をクリアーする程度の断熱性能になるでしょう。また、気密性(C値)も何もリクエストしなければ、510cm2/m2程度になってしまうと思います。もし、高気密高断熱住宅を望むなら、フレームパネル(FP)工法や、ス ーパーウォール(SW)工法など、十分な性能を持つ家を建てることができるのですが、それなりにコストがかかってしまいます。コストをかけずに高気密高断熱を実現するためには、一般的な軸組み内断熱工法をベースに、断熱と気密の工夫をする必要があります。
 工夫といってもたいしたことではなく、断熱材の質と量、樹脂サッシの採用など、良いものをバランスよく使えばよいだけです。その結果、我が家では軸組み内断熱工法でありながら、
Q1.74W/m2KC1.6cm2/m2を実現しました。これは次世代省エネ基準U地域(青森、秋田、岩手など)をクリアーする性能です。
  高断熱高気密は夏に弱いと言われますが、そんなことはありません。窓の開放による風通しを十分確保できれば、一般住宅以上に暑くなることはないのです。風通しを良くするのも難しいことではなく、風の入り口と出口を作ってやればよいだけです。間取を考える際、必ず
2面以上に窓を配置してやれば、十分な風通しを得ることができます。

風通し

 また、少しでも室温を下げるため、床下から日陰のコンクリート(基礎)で冷やされた空気をリビングに汲み上げています。これは温度センサースイッチで自動運転され、エアコンの稼動を抑えています。さらに、夏の日差しによる強烈な輻射熱対策も重要です。小屋裏を部屋として使う我が家では、特に屋根の断熱を入念に行いました。輻射熱対策としては、下階が部屋のベランダにはFRPの上をウッドデッキにし、直射日光がベランダを暖めないようにしています。また、本来の目的ではありませんが、太陽光パネルが屋根への直射日光を遮ってくれるので、小屋裏及び家全体に熱が篭るのを防いでくれ ます。

屋根の断熱

 一方冬場の対策としては日差しを積極的に取り入れることです。南面の窓を大きくし、十分な日が差し込むよう間取を考えました。窓を大きくすると、夜の熱損失が大きくなってしまいますので、日差しが見込める窓以外(北)は、風通しを確保するための最低限の大きさにしています。

〓照明・家電〓

冷蔵庫やエアコンなどの家電は、年々省エネ性能が向上しており、最新の機種を購入するのが最も手っ取り早い省エネになります。しかし、今までのものを簡単に買い換えるわけにはいきません。ある程度寿命と思われるタイミングが来たら、あまり無理に使わずに買い換えをすると良いでしょう。我が家では、新築に際して1Fのエアコン(18畳用)を購入しました。実質続き間での広さは26畳ほどあるのですが、冷房、暖房ともによく効きます。2Fは寝室にマンションで使っていたもの(8畳用)を持ってきて取り付けました。2Fのエアコンは、まったく使う気がなかったのですが、さすがに今年の夏は45日使ってしまいました。冷蔵庫の消費電力
 冷蔵庫もマンションで使っていたものを使い続けていたのですが、既に
10年になるので、新築に9ヶ月遅れて買い替えをしました。今までの冷蔵庫は年間推定1,100kwhの消費電力ですが、買い換えたものは、容量が400Lから500Lにアップしたにもかかわらず、年間推定730kwh程度です。冷蔵庫の買い替えだけでも年間370kwhの節電になります。
 
IHクッキングヒーターも省エネという観点から機種選択をしました。IHには普通のIHIH専用鍋しか使えない)とオールメタル対応(IH専用でなくても使える)があります。金額的には12万円の違いなのですが、我が家は普通のIHにしました。普通のIHではIH専用鍋しか使えないので、今までの鍋を買い換えなければなりません。それを考えるなら、12万円高くても、オールメタル対応にしたほうが安上がりです。しかし、IHIHに最適化された鍋を使うのが一番効率が良く、オールメタル対応だからといって今までの鍋を使うと効率が悪くなるのです。使えないことはないけど効率が悪い。ということは無駄な電気を撒き散らしてしまうのです。であれば、思い切って鍋を買い換えて効率を良くした方が良いだろう。というのが理由です。IHクッキングヒーター
  次に照明についてですが、我が家では白熱球は一切使っていません。白熱球と蛍光灯を比較すると、特殊な照明用途以外に白熱球を選択する理由がありません。なので、全ての電灯は蛍光灯(電球型蛍光灯)にしました。そして、点けっぱなしを防止するため、居室と風呂以外は全て人感センサースイッチにしました。また、照明に極力頼らず、自然光を取り入れるため、南面の窓を大きくし、階段室には天窓を設けました。階段は
1-2階、2-3階と重なっているので、2-3階の階段の蹴込みを抜き、1-2階の階段まで光が届くように工夫しています。

階段の採光

(人感センサースイッチは省エネか?)

ここで人感センサースイッチについての考察です。人感センサースイッチはそれ自体も電力を消費します。カタログには0.1wと記載されています。もしかすると、もっと消費電力は小さくて、表記の最低単位が0.1wだから0.1wと書いてあるのかもしれませんが、ここは0.1wで考えます。この待機電力は、電灯を点けようが点けまいが24時間365日消費されてしまいます。1日で2.4wh1ヶ月にすると72hになります。これに接続されている電球型蛍光灯は13wなので、5時間半の点灯に匹敵します。言い換えると、人感センサースイッチを導入することによって、1ヶ月間に5時間半以上の無駄な点灯を防がなければ、人感センサースイッチを導入する意味がないということになります。また、無駄な点灯という意味では、人感センサースイッチにも無駄な点灯があります。一つ目に、既に人が居ないのに点灯しつづけること。人感センサースイッチでは廊下で通りすがりにスイッチがONになり、通り過ぎても規定時間点灯し続けます。我が家では30秒に設定してあるので、最大30秒の無駄になります。二つ目に、電灯を必要としない光量があるのにONになってしまうこと。人 感センサースイッチには照度センサーが付いており、ある程度暗くならないと点灯しない仕組みになっています。そのため、昼間は点灯することはないのですが、朝や夕方の微妙な明るさの時、必要でないのにONになってしまいます。これも30秒の無駄になります。これらの無駄が発生する頻度はカウントしたことがないので、正確なことはわかりませんが、我が家の場合を想定すると、廊下で1110回×6人、160回×30秒=30分となります。先ほどの待機電力と合わせると141分無駄になる可能性があります。トイレだと114回×6人×30秒=12分で、待機電力と合わせると123分になります。もし、手動スイッチで、必要な場所で必要な時間だけきっちりONOFFするのであれば、人感センサーは省エネにならないということになってしまいます。しかし、消し忘れや、また通るから点けっぱなしというのは良くあることで、その頻度がどれくらいかで 省エネかそうでないかが決まります。1ヶ月のうちで、 「一晩消し忘れた」なんてことが12度あるようなら、センサースイッチに軍配があがりますが、きっちり電気を消す習慣がついている几帳面な人であれば、センサースイッチにする必要はないでしょう。
 我が家はというと、私もかみさんも性格はいい加減。ましてや子供が
4人もいて、みんなきっちりONOFFなどできるわけがありません。省エネを意識して電気を消しまくるなど、我が家では到底不可能と考え、居室と風呂以外は全て人感センサー スイッチに頼りました。ただし、スイッチ位置の配置計画は慎重に慎重を重ね、誤作動の可能性を極力排除しました。

人感センサースイッチ

壁スイッチタイプ           天井埋め込みタイプ


人感センサースイッチ        天井埋め込み型


 また、換気扇についても、温度や湿度で自動運転するセンサーに頼っています。しかし、「温度センサー付換気扇」はちょっと曲者です。良く仕様を見てみると、待機電力が結構大きいのです。稼動時
5w、待機時3wなどとなっており、動いていても止まっていても消費電力があまり変わらないのです。それが嫌だったので、我が家では温度センサースイッチと、換気扇を別にし、止まっているときの待機電力を 温度センサースイッチの0.1wにしています。

〓水道〓水使用目的別実態

節水対策は、こまめに水を止めたり、流しっぱなしをしないというのが一般的な方法です。しかし、我が家では「我慢せずに省エネ」でなければ受け入れられません。そこで出てくるのが中水利用です。「飲む水とトイレで流す水が同じ」というのは、どう考えても無駄です。トイレで使用される水は、一般家庭で消費される水の約1/4に相当します。これを中水でまかなうことができれば、何も我慢せずに水道を節約することができます。
 空からタダで降ってくる雨は、まさに天の恵みです。これを利用しない手はありません。また、雨水の他、風呂の残り湯も中水として利用できます(風呂の残り湯は洗濯で優先的に再利用します)。これらを一旦タンクに貯め、トイレで使用すれば、トイレの水道代はタダになります。雨水タンク
 我が家では、
1,000Lのタンクを2階に置き、屋根に降った雨水をタンクに集めます。洗濯で使い切れなかった風呂の残り湯もタンクに汲み上げます。タンクからトイレまでは自然の高低 差を利用し、ポンプ等を使わずに供給しています。水を節約するために電気を使ってしまっては本末転倒になってしまうので・・・。

〓太陽光発電〓太陽光発電

 エネルギーを極力消費しないようにする対策を積み上げ、水道光熱費を最小限にしたところで、最後に太陽光発電が登場します。我が家の太陽光発電は4.8kw。平均よりやや大きめですが、決して潤沢な発電容量があるわけではありません。しかし、屋根の方位、角度も太陽光発電に最適になるように設計し、効率よく発電できるようにしました。そして余剰電力の売電で、水道代をカバーし、水道光熱費ゼロの省エネ住宅が完成します。
 太陽光発電を搭載している住宅を省エネ住宅だという人がいますが、いくら電気を発電しても、常にエアコンが稼働していたり、昼間なのに照明を点けなければならないようでは、省エネ住宅とはいえません。

〓おまけ〓風力発電

 我が家では一般家庭ではあまり採用されていない風力発電を導入しています。これはあくまでもモニュメント的な意味合いが強く、効果を期待するものではありません。しかし、風力発電機と2枚の太陽光発電パネル、200Ahのバッテリーから成る独立電源は、常時リビングの照明を灯し、非常用電源としても役立ってくれます。

※毎月の電気料金、水道料金は水道光熱費月報で公表しています。

【省エネ住宅】 2007年10月

 



太陽光発電

 

 

 



 

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