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太陽光発電 新たな電力買取制度
-買い取り金額が2倍になったら-

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太陽光発電

 
 
 
 
 
 

 


 
2009年2月24日、経済産業省が新たな電力買取制度についての発表をおこないました。その内容は、現在電力会社が家庭の余剰電力を自主的に1kwh当たり25円程度で買い取っているものを、2倍程度(50円)に引き上げ、10年程度買取を義務付けるというものです。 また、既設の太陽光発電にも適用される見通しで、今国会において法整備を目指す方針とのことですが、これが実現すると太陽光発電の経済収支がどのようになるのか考察してみます。

 〓余剰電力の罠〓余剰電力
 電力会社との系統連系では、
太陽光発電で発電した電気は、まず宅内の消費に回されます。そして消費しきれなかった分を余剰電力として電力会社に売ることができます。発電=売電(余剰電力)ではなく、発電から自己消費を差引いた分が売電(余剰電力)となるのです。現在は余剰電力の売電単価は、買電単価に合わせる形になっていますので、発電した電気を自己消費しようが売電しようがどちらでも同じです。ところが、新しい制度案では、余剰電力の売電単価を2倍程度にするというもので、ここに発電した自己消費分は含まれません。この制度のメリットをフルに活用しようとするなら、極力自己消費せず、売電を多くした方が有利になります。極論をすると、発電した電力は全て売電し、消費分は全て普通に買えば、最大の効果を得られることになります。
 ところがそうは問屋が卸しません。電力会社との系統連系を行うとき、電力会社と「電力受給契約」というのを結びます。これで売電ができるようになるのですが、この契約要綱には以下のようなことが書かれています。

「この低圧太陽光発電からの余剰電力受給に関する契約要綱(以下、「この要綱」
といいます。)は、当社と電気需給契約を締結している低圧のお客さま(以下、「発
電者」といいます。)が、
自己の発電設備を当社の電力系統へ連系し、発電設備よ
り発生する電力に余剰が生じた場合
に、その余剰電力を当社へ供給し、当社がこれ
を受電する場合の系統連系および余剰電力受給に関する契約(以下、「受給契約」
といいます。)の条件を定めたものです。」


 つまり、あくまで「余剰分しか買わないよ」ということで、その前提には通常の電気料金契約があり、発電したものを売るというものではありません。もし、発電したものを一方的に売りたい場合は、発電所として個別に契約を交わし、単価を取り決めなければなりません。その場合は電力会社にとってみれば、純粋に仕入になりますので、非常に安い単価での契約になります。
 姑息な手段ですが、電気料金の契約を2本結び、片方は消費用、片方は発電用とすれば、発電したほぼ全量を高い単価で売ることができますが、同一世帯には原則1契約などの規定があるため、まともな方法では難しいです。住居兼店舗などで、契約が分かれている場合には可能になりますが、わざわざ別契約をして基本料金を余計に払ったのでは、自己消費の単価プラス分もなくなってしまいます。
 ということで、今回の新制度案の購入単価2倍は、発電量全てではなく、余剰電力にしか適用されないというところに注意が必要です。ちなみにドイツでは、純粋に発電した量を購入単価の3倍で買い取ってくれるそうで、新制度が国会を通ったとしても、まだまだドイツに追いつきません。

〓グリーン電力証書〓
 話しは横にそれてしまいますが、再生可能エネルギーに対する助成手法の一つにグリーン電力証書というものがあります。これは再生可能エネルギーによって得られた電力の環境付加価値を、取引可能な証書にしたもので、太陽光発電や風力発電などによって得られた電力は、「電力そのものとしての価値」に加えて、「(化石燃料などに比較して)排出量の少ない電力であることの価値」、すなわち環境付加価値を有するというものです。
 太陽光発電で発電された電力はこれに該当するのですが、これが電力会社に売電された場合、この環境付加価値も電力会社に売られたことになります。つまり、売電価格の中には、環境付加価値分の価格も含まれているということになります。ところが、太陽光発電によって発電され、宅内で自己消費された電力は、環境付加価値をもっているにも関わらず、普通に消費されてしまいます。この部分については、太陽光発電を設置した人が、自分で自分を助成しているようなものなので、この部分をグリーン電力として証書化し、法人や自治体などに売ることができます。実際の取引単価は1kw当たり10円程度となります。
 詳しくは太陽光発電所ネットワークでご確認ください。  


 〓売電金額シミュレーション〓
 本題に戻って、新制度案が施行された場合、どの程度売電金額が変わるのかシミュレーションしてみます。まずは2008年の我が家(三洋HIT4.8kwシステム)の月別電力量推移をご覧ください。

月別電力量推移(2008年実績)  
  買電量 発電量 自己消費量 売電量
1月 643 427 108 319
2月 735 579 222 357
3月 474 562 125 437
4月 428 503 112 391
5月 399 487 87 400
6月 297 421 92 329
7月 295 566 245 321
8月 317 486 34 452
9月 268 440 101 339
10月 386 426 131 295
11月 425 357 128 229
12月 614 443 141 302
合計 5,281 5,697 1,526 4,171


月別電力量推移

年間合計で、発電量は5,697kwhありますが、そのうち1,526kwhが自己消費されてしまい、売電されたのは4,171kwhになります。現在の売電単価は約28円ですが、これが50円になったとして金額を計算してみます。なお、プレス発表では、電力会社の購入単価を引き上げる代わりに、電気料金は月数十円〜100円程度値上げされるとありますので、金額差からは100円を差引いています。

売電金額差(2008年実績でシミュレーション)  
  現売電金額 新売電金額(単価50円) 金額差
1月 8,783 15,950 7,067
2月 9,904 17,850 7,846
3月 12,282 21,850 9,468
4月 11,125 19,550 8,325
5月 11,398 20,000 8,502
6月 9,249 16,450 7,101
7月 9,157 16,050 6,793
8月 13,184 22,600 9,316
9月 9,711 16,950 7,139
10月 8,518 14,750 6,132
11月 6,489 11,450 4,861
12月 8,733 15,100 6,267
合計 118,533 208,550 88,817


売電金額の推移

現単価での売電金額と、新単価(50円)での売電金額差は毎月7,000円〜8,000円あり、年間にすると88,817円のプラスになります。

ワットチェッカー      ワットチェッカー

●コンセントに差し込んで簡単&便利にボタン1つですぐ測定できます。
●電圧(V)、電流(A)、電力(W)、皮相電力(VA)、周波数(Hz)、力率(PF)、積算電力量(KWH)、積算時間(H)。
●液晶画面に数値で表示されひとめで測定できます。


 〓損益シミュレーション〓

 次に売電金額のプラスが投資回収にどのように影響するかシミュレーションしてみます。条件として、三洋HIT4.8kwシステムの初期投資額2,900,000円、10年目と20年目にパワーコンディショナー400,000円を各々交換したとします。また、2倍買取は「10年程度の義務付け」と報じられておりますので、10年以降は現単価で計算しています。

損益シミュレーション            
  5年 10年 15年 20年 25年 30年
現単価損益 -2,091,045 -1,682,090 -873,135 -464,180 344,775 1,153,730
新単価損益(50円) -1,649,610 -799,220 9,735 418,690 1,227,645 2,036,600
現単価利回り -22.5 -8.31 -2.35 -0.86 0.45 1.12
新単価利回り(50円) -15.4 -3.17 0.02 0.67 1.78 2.69


損益シミュレーション

現単価では、パワーコンディショナーの交換を加味すると、投資の回収までに約23年かかってしまいますが、新単価(50円)でシミュレーションすると、約15年で投資を回収することができます。また、20年目には利回りが0.67%付き、30年稼動したとすると、2.69%の利回りとなります。
新単価(50円)では投資回収は15年で、損益分岐点は現単価より8年早まることになります。
 買取価格2倍は、もう少しインパクトがあるのかと思ったのですが、意外とおとなしい結果となりました。パワーコンディショナーの交換を考えなければ、約12年で回収できますので、「太陽光発電は初期投資を回収できない」という考えも改まるのではないでしょうか。

ベランダ太陽光発電キット発電君
ベランダ太陽光発電キット

 電気のない場所に電気が使え、照明としても使える画期的な太陽光発電システムです。太陽のあたる場所ならベランダでも、お庭でも倉庫でもどこでもOK。使い方は簡単。太陽電池を太陽のあたる場所に設置し、太陽電池のコードと照明のコンセントもしくは使いたい電化製品のコンセントをシステムボックスに差し込むだけですぐ使用できます。


 〓システム容量の落とし穴〓

 冒頭でお話ししましたが、2倍で買い取ってもらえるのはあくまでも余剰電力です。どんなに昼間電気を使わないと言っても、冷蔵庫やら何やらで、そこそこの基礎消費があります。それらが自己消費として消えてしまい、売電単価アップのメリットを受けられません。我が家の場合の自己消費は年間1,526kwhに及びます。もし、システム容量が小さかった場合、自己消費の比率が高まり、十分にメリットを享受できない可能性があります。なので、システム容量ごとに経済効果の差を シミュレーションしてみました。

システム容量別年間経済効果差(10年目まで)      
  1kw 2kw 3kw 4kw 5kw 6kw
現経済効果 33,233 66,465 99,698 132,930 166,163 199,395
新経済効果 41,528 83,916 143,259 202,603 261,947 321,291
経済効果差 8,296 17,451 43,562 69,673 95,784 121,896
1kw当たり経済効果差 8,296 8,725 14,521 17,418 19,157 20,316


システム容量別年間経済効果差

その結果、1〜2kwシステムでは、1kw当たり年間8,000円程度のメリットしか出ず、3〜4kwシステムでは15,000円程度、5〜6kwシステムでは20,000円程度のメリットが出せるようです。システム容量によって享受できるメリットが2倍以上も違うのです。それではシステム容量別の損益シミュレーションではどうでしょうか?条件は先の4.8kwをベースに、kw当たりの初期投資と回収から計算しています。ただし、1〜4kwのパワーコンディショナー交換費用は1回300,000円としています。

システム容量別損益シミュレーション      
  5年 10年 15年 20年 25年 30年
1kw -396,527 -488,887 -322,724 -456,562 -290,399 -124,237
2kw -788,756 -669,178 -336,853 -304,528 27,797 360,122
3kw -1,096,204 -679,908 -181,420 17,067 515,555 1,014,043
4kw -1,403,652 -690,637 -25,987 338,663 1,003,313 1,667,963
5kw -1,711,100 -701,366 129,447 660,259 1,491,072 2,321,884
6kw -2,018,548 -712,095 284,880 981,855 1,978,830 2,975,805


システム容量別損益シミュレーション

その結果、新単価(50円)であっても1kwシステムでは30年でも投資を回収することができないことがわかりました。また、2kwシステムでは25年、3kwシステムでは20年、4kwシステム以上でやっと15年で投資を回収することができます。このシミュレーションでは、我が家のシステム(4.8kw)にかかった費用を単純にkw当たりで割っていますが、小容量であればあるほど実際の1kw当たりのコストは高くなると思いますので、小容量システムではさらに不利になると思います。
ということで、新制度案では、システム容量がある程度大きくないと、あまりメリットを享受できないことに注意が必要です。

【太陽光発電 新たな電力買取制度-買い取り金額が2倍になったら-】 2009年2月

太陽光発電の実際 -基本編-  太陽光発電 の実際 -実践編-
 水道光熱費月報  エコ投資回収状況

【2009年10月12日追記】
 〓東京電力からのお知らせ〓
 「太陽光発電の新たな買取制度」について東京電力からお知らせが届きました。政権交代などもあり、いままで本当に売電アップが実施されるかどうか不安でしたが、制度の全容が明らかになり、一安心です。内容とポイントを以下にまとめます。

☆対象
 ・太陽光発電設備を設置し、受給契約(商用連系)をしている契約者
 →普通に太陽光発電を設置し、東京電力と売電の契約をしている場合

・平成22年3月31日までに受給契約を申し込み、平成22年6月30日までに受給を開始した場合。(既設も含みます)
 →とにかく平成22年3月31日までに受給契約を申し込んでいれば、既に受給契約をしている場合も含まれます。

☆売電単価
 今までの売電単価は、購入契約の単価と同じというのが原則でした。新たな買取制度では、一律下記の表の単価になります。なお、今まで燃料費調整額も売電単価に反映されていましたが、新たな制度では燃料費調整額は関係なく、完全に固定になります。また、単価は税込みです。

売電単価        
太陽光発電設備容量 住宅用(低圧供給) 非住宅用(高圧供給)
太陽光発電単独の場合 その他の発電設備等を併設の場合 太陽光発電単独の場合 その他の発電設備等を併設の場合
10KW未満 48円 39円 24円 20円
10KW以上 24円 20円


 ほとんどの場合は、住宅用(低圧供給)で、10KW未満になると思いますので、売電単価が48円になると思いますが、中にはガス会社のエコウィルや エネファームなどと併用しているご家庭もあると思います。その場合は売電単価が39円になってしまいます。このことについては、オール電化推進のための電力会社の陰謀ではないかなどと疑ってしまうようなこともありますが、ここではこれ以上述べません。ちなみにその他の発電設備とは、ガスエンジン(エコウィル)、家庭用燃料電池( エネファーム)に加え、蓄電池等も含まれます。

☆開始時期と期間
 新単価による買取開始時期は、平成20年11月の検針日以降になります。なので、検針日が月末に近い場合は、実質は12月分からの適用となります。そして、適用期間は10年間となっています。10年以降については、またその時に考えるということで、未定です。
 ここでちょっと気になるのが、「料金適用期間中に新買取制度の変更等があった場合については、上記料金適用期間についても変更する場合があります」という一文です。逃げ道を作っておくことは世の常ですが、ここでも逃げ道があり、完全に保証されているものではありません。情勢の変化によって、「やっぱりやーめた」といって途中で打ち切られたり、金額が変更されたりする可能性があります。上積みされる分には嬉しいのですが・・・。

☆48円固定買取の効果
 我が家の場合(4.8kwシステム)、昨年の実績で売電量が4,171kwhでした。今までの売電単価は3段料金の消し込みという複雑な計算で求められるのですが、概ね28円くらいです。新たな買取制度による買取価格は48円ですので、(48円-28円)×4,171kwhで、年間83,420円がプラスになります。これが10年続くと、834,200円の効果となり、1kw当りで換算すると、17,3790円になります。平成21年度から国の補助金が復活し、1kw当り7万円の補助が出るようになりましたが、新たな買取制度を補助金としてみた場合、導入時の補助金に比べてかなり大きいことがわかります。



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