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 今年は雨が多かった。杭打ちが終わり、基礎屋が入るまでの間ずっと雨が降っていた。梅雨時だから仕方がないのだが、それにしても良く降った。お陰で杭の中には雨水が溜まり、まるで井戸である。更地に28本の井戸ができてしまった。

杭の水

この水どうなるのだろう?ちょっと疑問に思ったので、O氏に聞いてみた。すると、「通常はそのままその上に基礎打ちますけどねー」と言われた。「なんか気になる。」といったら「時間が経てば抜けるでしょう」といわれた。でも下は固い地盤だし、上に蓋したら抜けようがないんじゃないかと反論。すると「抜いても地下水が上がってきちゃうんじゃないかなー」といわれた。結局よくわからない様子。家が建ってしまえばまったく見えないところだし、通常施工する側はこんなこと気にしないのだろう。どんな不具合に繋がるかまったく想像はできないのだが、家の下に直径十数センチ×深さ6m×28本分の水を閉じ込めるというのは気味が悪い。抜いても結局地下水が溜まる結果になるとしても、水を抜きたいと思った。

ちょうど風呂水汲み上げ用に購入を予定していたポンプがあるので、前倒しで購入し、基礎屋が入る前日に作業を行った。文明の力はすばらしい。ポンプはガンガン水を吸い上げる。1時間もしない間に全ての杭の水を排出することができた。が、全てではなかった。ポンプではホースの先のストレーナーが水に浸かるところまでは吸い上げることができるが、残り恐らく深さ10cm位は水が残ってしまう。これをなんとかしたくなった。早速近くのコンビニに行き、スポンジと紐を購入した。スポンジを紐にくくりつけ、6m下の底へ投げ入れる。紐を少し引き、チャプチャプさせて水を吸わせ、引き上げて絞る。これで完璧だ。だが、意外と手間がかかる。何度も何度も投げ入れては絞りを繰り返し、気づいたらもう日が暮れていた。夢中になっていたので気にはしなかったが、その作業風景は異様だったろう。

ようやく作業が終わりに近づいた時、近所のM氏がビールを持って陣中見舞いに来た。M氏は子供の同級生のお父さんで同じマンションに住んでいる。家族ぐるみで仲がよく、良いご近所さんだ。ほどなく作業も終わり、二人でビールを飲んだ。帰り際、飲み終えた500mlのビールの空き缶を鋼管杭の中に落とした。手を離し、しばらくしてから「コツン」と音が帰ってくる。6mの深さを感じた。このことは二人の秘密にした。

基礎工事が始まってからも雨はよく降った。雨の合間に作業を行ったため、基礎が完成したのは7月中旬になってからになる。基礎が完成した後も雨がよく降った。困ったことに基礎の中央部に水が溜まってしまう。立ち上がりには排水用の穴が開いているのであるが、中央部が少し低くなっているので、降った雨が全て排水されず、深さ1cmほどの大きな水溜りができてしまうのだ。建設関係の人に言わせれば、これも「放っておけば乾く」というレベルのもので気にならないのであろうが、やはり気になる。

土日は子供のサッカーのコーチをしており、雨上がりのグラウンド整備で、スポンジで水を排出する作業をよくやっていた。早速学校の倉庫に行き、巨大なスポンジを拝借。グラウンドキープならぬ基礎キープをはじ めた。グランドは土なので、スポンジに水を吸わせるのも絞るのも大変なのだが、基礎上は平らで、水もきれいだから意外と作業は快適だった。バケツ10杯ほどの水を排出すると、水溜りはなくなった。その後、防水が完了する9月下旬まで、雨上がりには必ずこの作業を行った。

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【基礎工事雨との闘い】



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